投資とトレードの明確な違い
基本中の基本なのですが、FXの本やWEBサイトを読んでも、明確に定義してあるものをほとんど見たことがありません。
一般的には、「投資とトレード」であったり「投資と投機」と言ったりしますが、ここでは「投機」ではなく「トレード」と表現を統一したいと思います。
投資もトレードも呼び方の違いだけで、同じものだと思っている方がほとんどではないでしょうか。
先に結論を言ってしまいますと、実は投資とトレードとは全く別物なのです。
たとえば、5年後の価格が分かるとして、5年後のレートが大幅に上昇している通貨ペアなら、その間何をしても儲かると思いますか?どこで買っても儲かると思いますか?
そう思ったあなたはとても危険です。
それは「投資」と「トレード」を区別しないままに資金を投入していることになるからです。
では「投資」と「トレード」、その違いについて説明していきます。
まず結論から言いますと、
投資というのは、価値に資金を投じる行為です。
トレードというのは、価格に資金を投じる行為です。
わかりやすく言うと、
対象通貨の将来の価値に焦点を当てるのが投資です。
現在の価格に焦点を当てるのがトレードです。
これ以外の要素はありません。
それでは、それぞれをさらに詳しく説明します。
■ 投資とは
投資は、よく中長期投資などと言われます。
数年単位の長いスパンで見ることが多いです。
長いスパンで見なければいけないと言うわけではないのですが、短いスパンで通貨
の価値がすぐに反映されることが少ないので、比較的長期の視点が必要になるからです。
注意してほしいのは、時間軸が長いから投資だと限りません。
あくまで資金を投じる人の焦点が「価値」に向いているのか、そうでないのかだけが判断基準です。
本来の価値、もしくは将来の価値に比べて、現在は「安い」と判断しているわけです。
今はまだ現実化していない「価値」というものに資金を投じ、その価値が現実するまで
待つと言うものです。
誰にも見向きもされていないアイドルに可能性があるのかどうかを見抜き、ファンクラブを作り、ファンクラブ会員ナンバー1番として応援し、待って待って、
晴れの日も雨の日も待って、いつの日か注目される時までじっくりと見守る。
そしてその後、誰よりも大きな喜びを得ることが出来る。
そんなイメージです。
その投資に対し、トレードとはどのようなものなのでしょうか?
次はトレードの説明に移ります。
■ トレードとは
トレードで大切なことは通貨の価値ではありません。
通貨の価値という視点はトレードには関係ないのです。
トレードで大事なのは現在の価格です。
現在の価格が全てです。
どういうことなのか詳しく説明します。
FXのチャートは見たことがあると思います。
チャートとは、過去の価格推移を時系列で並べて視覚的にわかりやすくしたものです。
■ チャートの向こう側には生身の人が!
さて、それでは相場は何故動くのでしょうか?
右肩上がりに上昇しているチャートがあったとします。
そこで起きているのは、価格が上昇しているということなのですが、小さな波の上下を繰り
返しながら右肩上がりになります。
では、どうして小さな波の上下を繰り返すのでしょうか。
どうしてまっすぐ直線にならないのでしょうか。
意外と答えられない質問だと思います。
その答えは、そこに人がいるからです。
チャートは、過去の価格推移を時系列で並べて視覚的にわかりやすくしたもだと先ほど言いましたが、本質的には、チャートは心理の集合体を時系列で並べた物だとも言えるです。
今見ているチャートや、取引画面の向こう側には、同じように自分の利益を願っている数百人、数千人の人間がいるのです。
そしてその人達が自ら判断し、これからその通貨が上がるのか下がるのかと考え、
売買を繰り返しているのです。
チャートというのは、その通貨に注目し取引している、生身の人間の心理が表れたものなのです。
では、「トレードでは現在価格が全て」というのはどういうことでしょうか。
さきほどの投資とは何が違う のでしょうか??
■ チャートパターンには、人間ドラマがある。
チャートは通貨の値動きを視覚的にわかりやすくしたものなのですが、機械的なものなのではなく、一つ一つの動きにドラマのあるとても人間くさいものなのです。
そしてトレードは、人間心理が作り上げる波の行き先を、確率で予測する行為なのです。
例えば、あるパターンを発見したとします。
そのパターンの時は、次の瞬間上にいくことが多いということならば、買いでエントリーする。
逆ならば、売りでエントリーをする。
そこにあるのは通貨の価値ではありません。今、目の前にある価格です。
判断基準は、遠い将来どうなるか?ではなく、現在その通貨を売買している生身の人間が、
何をどう判断するか?という心理を確率で考えるのです。
チャートのパターンは、人間の心理パターンなのです。
もちろん100%期待したとおりに動くとは限りません。
過去の動きを検証し、確率の高い方向をに対してエントリーする。
その積み重ねによって利益を出していくのです。
どうして過去のデータ、過去のパターンの検証が有効なのかというと、
人間の心理は昔も今も変わっていないからです。
投資とトレードの区別ができていないために、
自分が投資をしているのかトレードをしているのかわかっていない人が多いようです。
あなたはどうでしたか?
■ 投資とトレードは違う!
投資とトレードでは、判断基準が全く違います。
あなたは投資をするのか、トレードをするのかどちらかに決めなければなりません。
そうしないと、いつ資金を引き上げるのかが決まりません。
投資するのであれば、通貨の価値や方向性に変化があった時が資金を引き上げる時です。
トレードをするのであれば、価格の変化が、自分の予測値を超えた時が資金を引き上げる時です。
利食いと損切りで逆の結果になりますが、予想した上限に達した時、下限に達した時が出口です。
投資とトレードの違いをしっかりと理解し、自分は投資を行うのか、トレードを行うのかを意識しておいてください。